どうも、こんにちは。
ひらくりっどです。
1ヶ月の研究武者修行が終わりまして、今東京に帰るバスの中です。
この1ヶ月はといえば、研究所と部屋との往復だけ、とにかく集中して研究に励んでおったわけです。
泊まっていたところには食堂があって、朝晩とすごい品数豊富なご飯を提供してくれる気のいい夫妻が常駐しておるのです。
ここに来たのは今回で5回目。
いつも一月とかで終わっちゃうから、おじちゃんおばちゃんからは名前を覚えられては忘れられ、覚えられては忘れられの繰り返しでした。
そんな日々だったけど、さすがに5回目。
今回はすぐに名前も思い出してもらえ、今までにはないほど気さくに話しかけてくれるようになりました。
研究に行き詰まってちょっと落ちこんで帰ったときなんかには、
「今日は帰り遅いねぇ、頑張ってるんだねぇ。立派だ。」
なんて具合にいつもより多めに声をかけてくれたもんです。
歴代の先輩たちもみんな食堂のおじちゃんおばちゃんにはお世話になってきてるんです。
ある日おじちゃんが、
「○○さん(先輩研究者)は元気してる?」って聞いてきて、
「最近大学の先生になりました」って答えたら、
「そうかぁ、立派なもんだ。彼は優秀だったからねぇ。君も将来は大学の先生になってくれよ」なんて声をかけられたり。
おじちゃんが去年来てた後輩のことを思い出して
「彼は元気でやってるか?ちゃんと研究続けてるか」なんて聞くもんで、
「彼は就職するみたいですよ」って言ったら
「そうかぁ、研究辞めるなよって伝えておいてくれよ。君も研究辞めるないで頑張ってくれよ」
なんて具合にいちいち心を揺さぶってくるんですね。
今回は研究の進み具合とかで辛い思いをしたけど、おじちゃんおばちゃんの温かさと毎回二人前くらい出てくるおいしい食事のおかげで、こうして無事修業を終えることができました。
もういい歳になったけど、この歳で触れる人の温かさって素晴らしいものですね。
さっき部屋を出てバス停に向かうとき、
偶然おじちゃんおばちゃんに会ったんです。
「今から帰るの?」
「本当にありがとうございました、元気でやってね」
「また来るよね、待ってるから」
なんて言って、僕の方が感謝の気持ちでいっぱいなのに逆に感謝されて。
「次は夏かな、待ってるよ」
なんて言うんだけど、今年の夏は行けそうになくて、でもそんなこと言ったら寂しいから
「本当にお世話になりました、また来ますね!」
って清々しく別れを告げてきたわけなんです。
バス停に向かう道のり、
やけに空が青くて、
なんなんだろうと思ったら、
気づいたら春でした。
なんだこの小説。